入管法改正案の可決、成立について

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【コメント】入管法改正案の可決、成立について

 

立憲民主党政務調査会長 長妻昭

 
 政府提出の出入国管理及び難民認定法の一部改正案が9日、参議院本会議で可決・成立した。わが党は国際標準に則った難民保護のための対案を提出したが、成立せず残念極まりない。8日の参議院法務委員会では、委員長職権による政府案の強行採決が行われ、到底通常の委員会運営ではなかったことに厳しく抗議する。

 再提出された政府案は、2年前に多くの国民の批判を受けて廃案となった旧法案の焼き直しに過ぎなかった。送還停止となる難民認定の申請回数を2回までとし、退去命令違反に対する罰則を設けた。保護されるべき難民が逮捕、投獄、拷問、虐殺などの迫害が待っている母国に強制的に送還される可能性があり、また、罰則を創設しても長期収容が解消されるかは大いに疑問だ。

 政府側の立法事実は明らかに崩壊しており、入管行政と難民審査をめぐり、次々と問題が発覚している。大阪出入国在留管理局では常勤医師が酒に酔った状態で外国人収容者を診察した疑惑が明らかとなり、ウィシュマさん事件の後も入管の医療体制が改善されず、入管改革に関するこれまでの説明が根底から覆された格好だ。また、特定の難民審査参与員に難民認定の審査が著しく偏っていた問題も判明した。ずさんな難民審査の実態に驚かされると同時に、難民をほとんど見つけることができないとする同氏の発言を都合よく引用して、政府が法改正の必要性を訴えてきたことにも仰天する。

 国連人権機関などは、日本の極端に低い難民認定率に深刻な懸念を示すとともに、司法審査を経ない身体拘束や無期限収容を国際法違反の人権侵害だと批判している。わが党は、議員立法の難民保護法案と入管法改正案の2本を参議院に提出した。出入国を管理・規制する入管庁ではなく、政府から独立した難民を認定・保護する第三者機関の創設を提案し、収容にあたっては裁判所の許可を要件とした。

 世界で難民の数が1億人を超えている状況の中で、日本が難民の保護・支援に取り組む国際社会において名誉ある地位を占めるため、保護すべき方々を保護し、守るべき人権を守り、日本に暮らす外国籍の皆さんが、安心して生活し就労できる環境を整えるため、わが党は今後とも全力を挙げて取り組んでいく決意である。