2023(令和5)年度補正予算の成立にあたって【談話】《本部ニュースより》
2023(令和5)年度補正予算の成立にあたって
立憲民主党 政務調査会長 長妻 昭
本日29日、2023(令和5)年度補正予算が成立した。
一般会計総額は約13.2兆円とされたが、このような大規模な財政出動を実施することは、更なる物価高騰を助長し、国民生活を一層圧迫することになりかねない。
しかも、補正予算の編成にあたっては、財政法第29条で「緊要性」の要件が求められているにもかかわらず、来年度の概算要求から横滑りした予算や、年度内の執行を想定しているとは思えない総額4.3兆円規模の基金の造成・積み増しなど、明らかに「緊要性」を欠くものも散見され、予算全体の膨張に繋がっている。これでは、国民生活を無視した「バラマキ予算」と言わざるを得ない。
今必要なのは、バラマキではなく、真に支援を必要とする家計・事業者への直接的・重点的支援であり、立憲民主党が先般提案した「物価高を克服するための緊急経済対策」の方が優れていることは明らかである。
そして、今回の補正予算では、その財源確保のため、約8.9兆円の公債の追加発行を決定したが、従来補正予算の財源とされてきた決算剰余金が防衛財源に充当されることになったために、赤字国債の発行額が膨らんだ格好だ。
結局、我々が度々指摘をしながらも、その都度政府が否定をしてきた「財源ロンダリング」が現実のものとなったわけであり、ありもしない「税収増」の「還元」に加えて、またもや岸田政権が国民を欺いたと言わざるを得ない。
また今回、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」は「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」に使途が変更されることになるが、実質賃金が18カ月連続マイナスとなる中で、今まさに賃上げが必要であるにもかかわらず、なぜ予備費を措置するのか、また、いかなる場合に、どのように使用されるのか、全く不明のままである。
予備費は国会の事前議決の例外であり、財政民主主義の観点から、その濫用は厳しく戒められるべきだ。ましてや、政府のポケットマネーのように使われることは決して認められず、必要性を国民に説明できないのであれば、そもそも計上すべきものではない。
こうした認識に基づき、立憲民主党は、岸田内閣の経済対策に関係する予算を撤回の上、我が党の「物価高を克服するための緊急経済対策」を実現し、追加の公債発行について全額を取りやめること等を求める予算の編成替え動議を提出したが、政府・与党等の反対により否決された。我々は、引き続き、物価高騰に苦しむ国民の立場に立った経済対策の実現に向けて、尽力していく。